このページの目次
睡眠中、いびきに伴い呼吸が止まってしまう病気を、睡眠時無呼吸症候群(SAS)といいます。最近は、テレビや雑誌などで特集されることも多いため、心配して受診される方も多くなりました。睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは、就寝中に呼吸が止まる病気です。
医学的にいうと、10秒以上の気道の空気の流れが止まった状態を「無呼吸」と定義し、無呼吸が一晩のうちに30回以上、または1時間に5回以上起こると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)だといえます。
就寝中の無呼吸はなかなか気付くことができません。そのために日本人の300万人以上が睡眠時無呼吸症候群予備軍と言われ、検査や治療を受けていない潜在患者が多くいると言われています。就寝中に生じる無呼吸が、活動中(起きているとき)の私たちの活動に様々な影響を及ぼすことが深刻な問題です。気付かぬうちに様々なリスクが日常生活の中で生じる可能性があるのです。
無呼吸のほとんどは空気の通り道である上気道のスペースがなくなることが原因です。睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症する原因として次のようなものがあります。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の原因
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は太っている男性に多いと思われがちですが、痩せた女性でもかかる疾患です。もちろん女性と比べ男性の方が上半身に脂肪がつきやすい傾向がありますが、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は男性2~3人に対して女性が1人の割合で罹患しています。
また、男性は30~60代の少し太りやすくなったり、体型が変化したりする年代に睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症しやすいので要注意です。一方、女性はというと閉経前に比べ閉経後に睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症する確率が約3倍というデータも報告されています。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)になってしまうと、睡眠時に繰り返し呼吸が止まることで、頭や身体が低酸素状態になり、日常生活に支障をきたすようになります。
代表的な症状は、日中におこる強い眠気です。自分でも止められないほどの眠気が襲うため、車を運転中の事故などにもつながる恐れがありますし、実際にそのような事故も起きています。その他にも睡眠中、起床時に色々な症状が起こります。
睡眠中の症状
起床時の症状
日中の症状
息が止まる状態が毎晩のように続くと、体に必要な酸素が不足し、結果的に心臓に負担がかかり、心疾患や脳卒中などの生活習慣病の危険性が潜んでいます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)を治療せずに放っておくと事故や生活習慣病など命にもかかわる重大な「病気」なのです。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)と関連性のある生活習慣病
睡眠ポリグラフィ検査
(いびき、睡眠時無呼吸症の検査機器)
いびきだけではなく、朝起きても疲れがとれていない、倦怠感や強い眠気がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。実際に何秒くらい呼吸が止まっている、といったご家族の「観察」も、診断における大きなヒントとなります。
こうした訴えを総合的に判断したうえで、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が疑われる場合は、検査機器をお貸しし、睡眠時の無呼吸検査を自宅で行っていただきます。これは、寝るときに装着するだけの機器なので、負担なく検査ができますし、通常一晩の検査で診断が可能となります。
とくまる耳鼻咽喉科 院長
徳丸 裕