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上咽頭炎(鼻咽腔炎)に対して行われる治療法の一つです。
上咽頭とは鼻の奥、口蓋垂(のどちんこ)の上にあります。この場所は呼吸をする際に最初に空気が体内に入ってくるところです。そのため、ホコリやばい菌の影響を受けやすく、炎症(赤く腫れること)をたびたび起こしたりします。
咽頭扁桃(へんとう)というリンパ組織が上咽頭にあります。これは口蓋扁桃(一般の方には「扁桃腺」と呼ばれています)の一つです。アデノイドという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、この咽頭扁桃が大きく腫れたものを指します。
のどの一番上に位置する上咽頭は耳鼻咽喉科以外は病変を確認しづらい場所なので、今までほとんど治療されていません。この部分に塩化亜鉛またはルゴール液という炎症を治す薬を塗る治療をBスポット療法(又は塩化亜鉛療法)と呼びます。
「Bスポット」とは上咽頭(別名鼻咽腔(びいんくう))とも呼ばれ、この鼻咽腔の頭文字の「B」をとって元東京医科歯科大学耳鼻咽喉科教授の堀口申作先生が命名されました。
口から鼻の奥のBスポットに向かって、咽頭捲綿子という曲がった綿棒に1%塩化亜鉛液をつけて上咽頭に塗ります。この処置は1分ほどで終了します。
個々人の症状によって効果が現れるまでに時間差がありますが、改善効果が見られれば、週に1回から10日に1回のペースで通院していただくことになります。
上咽頭の炎症に対して塩化亜鉛を塗ることにより炎症がよくなります。その他に鼻からのどに粘液が下りてくる後鼻漏(こうびろう)やのどの違和感、痛みなどの症状が改善します。
その他、膠原病、アトピー性皮膚炎、IgA腎症、自立神経失調症、喘息、めまいなどに効果的であるという報告もあります。
*これは知っておいていただきたい大切なポイントですが、Bスポット療法がなぜ疾患に対して有効であるかはまだわかっていません。あくまでBスポット療法は補助的な治療法です。ネブライザー治療やのみ薬など現在受けておられる治療法を継続していただくことが必要です。
とくまる耳鼻咽喉科 院長
徳丸 裕