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季節性アレルギー性鼻炎の原因であるスギ花粉症に対する舌下免疫療法が、2014年10月に保険診療の適応となりました。1年遅れで通年性アレルギー性鼻炎の原因であるダニ(ハウスダスト)に対する舌下面免疫療法が2015年12月に保険診療の適応となりました。
スギ花粉やイネ、ブタクサなどの花粉症は季節性アレルギー性鼻炎と言われ、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状は花粉が飛散する時期のみ症状が現れます。通年性アレルギー性鼻炎とは花粉症などの季節性アレルギー性鼻炎などの症状と同じですが、季節に関係なく1年中症状が現れているのが特徴です。
通年性アレルギー性鼻炎の主な原因(アレルゲン)はダニ(死骸や糞)やホコリ、カビ、ペットの毛などのハウスダストであり、日本人の約4人に1人が通年性アレルギー性鼻炎と言われています。
通年性アレルギー性鼻炎の症状
ハウスダストとはダニ(死骸や糞)やホコリ、カビ、ペットの毛などの総称です。しかし実に98%以上がダニの死骸や糞であり、残りの数%がホコリやカビ、ペットの毛などに当たります。
このように通年性アレルギー性鼻炎の主な原因はダニによるものなのです。日本で発見されているダニは約2000種類あり、その中で家屋(畳や絨毯、布団などの寝具、ソファなど)にいるダニの80%~90%はコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニと言われています。通年性アレルギー性鼻炎の治療にはダニ(コナヒョウヒダニやヤケヒョウヒダニ)への対策が必須だということです。
ダニエキスを含む舌下免疫治療薬は、コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニのエキスが50%ずつ含む錠剤であり、舌下(舌の裏)に置きます。1分間保持した後飲み込み、その後5分間はうがい、飲食はできません。これを毎日繰り返し、体をダニアレルギーから慣れさせる治療法です。スギ花粉の舌下免疫療法と同様、最低でも2、3年は継続しなければなりません。
期待できる効果
長期間(3年以上は治療を推奨、可能なら5年)、正しく治療を継続すると、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといったアレルギー症状を治したり、 長期間症状を抑える効果が期待できます。症状が完全に抑えられない場合でも、症状を和らげ、アレルギー治療薬の減量が期待できます。
以下のいずれかがあてはまる方は治療を受けることができません。
以下のいずれかがあてはまる方は治療に際して注意が必要です。
副作用がある治療法であることをご理解ください。
下記のような副作用は服用後少なくとも30分以内、または服用開始初期によく見られる傾向にあるので、発症当日は経過を観察し、症状が治まらない場合は翌日受診してください。
また、下記のような重篤な副作用が見られた場合は直ちに救急車を要請するなど、迅速な対応をしてください。
血液検査や問診などによりダニアレルギーに対するアレルギー性鼻炎であることが確認できたら、最初の1週間は3,300JAU錠を2週目以降は10,000JAU錠を1日1回1錠服用します。初回は当クリニックで服用し、2日目からは自宅で服用していただきます。
1. 検査・健診
2. クリニックで初回投与
3. 2日目~7日目(自宅)
4. 8日目以降(自宅)
ダニアレルギーに対する舌下免疫療法を効果的に継続するためには薬を服用するだけではいけません。以下の方法を参考にしていただきご自身の身の回りから少しでもダニアレルゲンを除去・回避してください。
● ていねいに掃除機がけをする
● 布張りのソファー、カーペット、畳はできるだけやめる
● ダニを通さないカバーをかける
● 寝具を干す
● 部屋の温度・湿度を調整する
● シーツやカバーは、まめに洗濯をする
● 寝具の掃除機がけをする
日本人にとってアレルギーの二大巨頭は屋内のダニ、屋外のスギ花粉と言っても過言ではないほど、ダニアレルギーや花粉症に悩まされています。
なぜダニアレルギーに悩まされているのでしょうか。それは私たちが住んでいる日本という国には梅雨があるからです。梅雨の高温多湿(温度:20度~30度 湿度:60%~80%)というのはダニが繁殖しやすい好条件であり、それに加え屋内にはハウスダスト、フケ、アカなどのダニが好きなエサがあり、布団や絨毯、畳など卵を産む場所といったダニにとっては最適な環境なのです。
今まではダニによるアレルギー、いわゆる通年性アレルギー性鼻炎の治療には日常生活の注意と抗ヒスタミン剤くらいでしたが、2015年から舌下免疫療法という選択肢が選べるようになりました。
舌下免疫療法は継続的に治療を行うことで、1年中悩まれているダニ(ハウスダスト)によるアレルギー症状を軽減させていくことが期待できます。根気よく体質改善をしながらご自身のアレルギーと向き合ってみては如何でしょうか。
とくまる耳鼻咽喉科 院長
徳丸 裕