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耳鳴りとは周囲で音がしていないにも関わらず、「キーン」や「ジー」という雑音・ノイズが耳の中や頭の中で聞こえることをいいます。誰しも数秒鳴って、すぐに消える耳鳴りは経験していることでしょう。しかし、このような音が四六時中聞こえ、夜も眠れないなど、日常生活に支障を来すほど耳鳴りが続いている時は早期に治療を開始しなければならないこともあります。耳鼻咽喉科を受診し適切な検査と治療をしなければなりません。
耳鳴りは大きく2種類に分けることができます。本人だけが聞こえる自覚的耳鳴と、聴診器等を使って音を増幅させると他人にも聞こえる他覚的耳鳴があります。ほとんどの耳鳴りは本人しか聞こえませんので、単純に耳鳴りといった場合は自覚的耳鳴のことを指します。
物音や人の声など耳の中に入ってくる「音」は空気振動として耳の奥の鼓膜を振動させ、中耳の奥の内耳の蝸牛で電気信号に変換され、聴神経を通って脳に伝達されます。耳鳴りは音が脳に伝わるまでのどこかに原因があり、異常な電気信号が内耳で発生し、脳に伝達されたと考えられます。
THI | 耳鳴りの支障度に関する質問票をご記入いただきます。 |
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標準純音聴力検査 | 音の聞こえの程度や障害となる部位を調べる検査です。 |
ティンパノメトリー | 鼓膜や耳小骨の動きを調べる検査です。 |
自律神経を安定させる抗不安薬、精神安定作用のある抗ヒスタミン薬、抗うつ薬
その他に局所麻酔薬、血流改善薬、末梢血管拡張薬、ビタミン剤、睡眠導入薬、代謝改善薬が用いられます。
耳鳴りに適応がある漢方薬は様々あり、症状や体質を考え処方致します。
TRTとは“Tinnitus Retraining Therapy”の頭文字を取った治療法で、耳鳴りは薬物療法などで治療することで改善することもありますが、6ヶ月以上続く慢性の耳鳴りの症状に対して当院ではTRT(耳鳴り順応療法)を行っています。
この治療法はカウンセリングとサウンドジェネレーターという補聴器のような専用器具を使用します。耳鳴りの原因を治療するのではなく、耳鳴りと違った雑音・ノイズを聞くことによって、耳鳴りを意識から遠ざけ、ストレスを軽減する治療法です。カウンセリングとは①耳鳴はなぜ起こるのか、②脳が音を感じるメカニズム、③耳鳴りがストレスとなり悪循環を与える仕組み、④TRT療法による仕組み、を理解していただくために行います。
初回の治療から約2週間ごとに通院していただき、耳鳴りの現在の状況とサウンドジェネレーターの使用感をヒアリングを行います。
TRT療法の効果が早くあらわれ始める方で約3ヶ月くらい、大体8割程度の方が約半年かかりますが、この状態ではTRT療法を始める前に比べ少し良くなった程度です。そして、日常生活を普通に送れるようになるまでに約1年~2年、それ以上のTRT療法の継続が必要です。
とくまる耳鼻咽喉科 院長
徳丸 裕